iPS細胞研究ならびに再生医療の発展に向けた移植寛容型カニクイザルの開発

2176 イナリサーチ

 2013年03月22日10時44分


平成 25 年 3 月 22 日
各 位
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株 式 会 社 イ ナ リ サ ー チ
代 表 取 締 役 社 長 中 川 博 司
(コード番号:2176)
問い合わせ先: 執行役員 総務部長 野 竹 文 彦
電 話 番 号 0 2 6 5 ( 7 3 ) 6 6 4 7




iPS 細胞研究ならびに再生医療の発展に向けた
移植寛容型カニクイザルの開発

このほど当社は、国立大学法人滋賀医科大学、国立大学法人信州大学および学校法人東海大学との共
同研究から iPS 細胞技術を用いた再生医療及び疾患研究などにおける移植拒絶の緩和に繋がる移植寛容
型カニクイザルモデルを開発しました。

ヒトの臓器移植において、ドナーと移植希望者との間の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の型を一
致させることは拒絶反応回避のために重要な要素となっています。また、特定の MHC 型が特定の薬剤副
作用と関連することが明らかとされ、疾病治療時の薬剤選択に先立って患者の MHC 型を調べるケースも
増えてきています。
一方、カニクイザルはヒトに近い霊長類であり、昨今のヒトでの外傷(損傷)や疾患などで機能喪失
した組織、臓器などの再生医療研究における iPS/ES 細胞の基礎研究から臨床研究への橋渡し研究への
利用がに期待されています。ところが、カニクイザルにおける MHC 型は系統的にはほとんど調べられて
いないため、これまでは限定的な研究使用しか出来ない状況でした。

当社は、かねてより各大学との間でカニクイザルの MHC 型(Mafa 型)遺伝子における多型解析研究を
進めており、平成 22 年度の独立行政法人科学技術振興機構(JST)A-STEP シーズ顕在化の研究支援を受
けて Mafa 型遺伝子の DNA タイピング法の開発に成功しました。
また、この DNA タイピング技術を駆使してフィリピン産カニクイザルにおいて、特定の Mafa 型をホ
モ接合体およびヘテロ接合体として有する個体を多数検出してきました。
これらの個体は、 がん治療研究ならびに感染症ワクチン研究などの臨床研究に先立つ基礎的な有効性
および安全性研究に有用な移植寛容型動物(カニクイザル)モデルになるものと考えております。

当社では、日本を始め世界各国で急速に進行している iPS 細胞研究ならびにそれら技術を駆使しての
再生医療・疾患研究の更なる発展のため、この移植寛容型カニクイザルモデルの提供、販売を世界に先
駆けて実施することになりました。また、同時にカニクイザルの Mafa 型遺伝子多型解析の受託検査お
よび当該サルを用いた受託試験も併せて開始致します。

なお、この共同研究の成果は、横浜市で 3 月 21 日より開催されている日本再生医療学会で公表され
ています。
また、本件が当社グループの当期業績に与える影響は軽微であり、来期以降の業績への影響について
は現在算定中であります。
以 上
用語の説明

1) MHC 遺伝子
:外来抗原を非自己と認識して、感染病原体の排除や、がん細胞の駆逐、臓器移植の際の拒絶反応
等の免疫反応に関与するタンパク質の遺伝子情報を含んでいます。

2) カニクイザルの MHC 遺伝子
:カニクイザルの MHC 型は Mafa と呼ばれ、Mafa-A、-B、-DRA、-DRB、-DQA、-DQB、-DPA、-DPB から
なり、ヒトの MHC 遺伝子群の遺伝子構成とよく類似しています。

3) ホモ接合体とヘテロ接合体
:遺伝学において二倍体生物のある遺伝子座が AA、aa のように同じ対立遺伝子からなるものをホモ
接合体といい、Aa のように異なる対立遺伝子からなるものをヘテロ接合体といいます。移植寛容
という点では MHC ホモ接合体のサルから作製した iPS 細胞を用いて移植することが理想的ですが、
ホモ接合体のサルは発現率が低く貴重であること、 iPS 細胞の作製に長時間を要し、コストもかか
る、という難点があります。そこでホモ接合体の細胞をヘテロ接合体に移植することでも急性拒
絶反応を抑えることができると考えられる点に着目し、ホモ接合体のサルから樹立した iPS 細胞
と比較的発現率の高いヘテロ接合体のサル個体をセットで提供することを提案しております。現
在、ヒトで日本人に多い白血球の型である「HLA」に着目して進められている「iPS ストック事業」
も同じ観点によるものであります。

Origin: iPS細胞研究ならびに再生医療の発展に向けた移植寛容型カニクイザルの開発

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